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研究紹介


モアレトポグラフィーを模擬した 輝度信号等高線加工画像
” Brightness signal Moiré ” による側弯症判定の試み


北里大学医学部整形外科学 助教 上野 正喜


 思春期特発性側弯症のスクリーニングである学校脊柱検診で、一部の地域で使われている、モアレトポグラフィー法は非常に有用な検査であることが知られています。しかし、特殊な機材と人員が必要であり、費用の確保と検診のための拘束時間が問題となります。このモアレトポグラフィー法の妥当性の高い判定基準を継承しつつ、より安価で簡便な新しい側弯症スクリーニングシステムの構築をめざして、デジタルカメラ等により撮影された画像を加工することで、モアレトポグラフィーで観察される等高線と同等の判定効果が期待できる等高線を描画する画像加工法を研究開発しています。
 このモアレトポグラフィーを模擬した輝度信号等高線加工画像は、Brightness signal Moiré (略称:BSモアレ)と名付けられ、処理はすべてPCベースでOPEN CVを用いて行われます。デジタルカメラ等で撮影された通常のJPEG画像から輝度信号を取り出し、階調表示を行うことで等高線画像を作成します(Fig.1)。

Fig.1    
 モアレ画像のフリンジと同等の間隔で等高線の描画が可能であり、モアレ法の判断基準に当てはめて判定しても同じ結果が得られます。モアレカメラは高額であり、撮影機材と光源の距離・角度、被写体の位置が決められ、専門の検査技師と検査時間・費用が必要です。しかしこの方法なら通常の写真からモアレに類似した画像を作り出すことが出来、モアレ縞と同等の間隔での等高線描画を行うことで既存のモアレ法の判定基準を使用することが可能になります。制限として、光源の位置とカメラの位置はほぼ同じ場所が望ましく、光源は被写体に対して直角にあたることが望ましいなどの条件はありますが、撮影は市販のデジタルカメラ・スマートフォン・カメラ付き携帯等が使用可能であり、撮影距離も固定する必要はありません。モアレトポグラフィーで観察される等高線とほぼ同等の効果が期待できる等高線表示を安価なシステムで実現でき、これらの加工過程や判定プログラムを自動化することで今後インターネット検診等への応用の可能性も期待できる有望な画像処理技術であると考えています。(特許出願中2012-155967)