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受賞報告


1st AOTrauma Asia Pacific Scientific Congress Best Poster Award 受賞報告


Distribution of Bone Marrow-Derived Cells in the Fracture Callus during Plate Fixation in a Green Fluorescent Protein-Chimeric Mouse Model
GFP骨髄キメラマウスのプレート固定モデルを用いた骨折治癒過程における骨髄細胞の分布


北里大学医学部整形外科学 助教 上野 正喜


  Best Pster Award 受賞報告(上野正喜)  

 この度2012年5月10~12日にHong Kongで開催された「1st AOTrauma Asia Pacific Scientific Congress」にてBest Poster Awardを受賞させていただきました。

 GFP transgenic mouseというUVを当てると組織が緑色に光るマウスの骨髄を通常のマウスに移植し、骨髄だけが光るキメラマウスを作成し、Mouseのプレート固定骨折モデルで骨折治癒過程中に骨髄細胞がどのように関与しているかを見た研究です(Ueno M. et al:Exp. Anim. 60, 455-462, 2011) 。この実験で用いたMouseFixというシステムは、マウスの大腿骨に、骨折を作りプレートで固定することができる骨折モデル作成のデバイスです。プレートの全長は約7㎜で、Screwの直径は0.4㎜ほどの非常に小さな骨折固定材料です。とても高価で、1匹分(プレートとscrew 4本)で180ユーロ弱です。世界の骨折治療の研究・教育団体であるAOと、オーストラリアのQUT(Queensland University of Technology)との共同研究であり、日本のAOコースのLocal chairmanであるSchuetz教授から糸満先生への呼びかけで北里とQUTが手を組むこととなりました。骨折の治癒メカニズムなどを探っていく上で、ノックアウトマウスやトランスジェニックマウスなどのマウスジェネティクスを応用することは不可欠ですが、従来のマウス骨折モデルは注射針などを髄内に挿入して固定するという単純なものでしかありませんでした。これは当然マウスが小さすぎるためですが、臨床の骨折治癒環境とはあまりに違いすぎるため正確な骨折治癒過程の研究ができませんでした。そこでAO foundationがResearch implantとして開発したのがMouseFixです。まずはこれが骨折モデルとして再現性良く使えるものかどうかの検討から入らなくてはいけませんでしたが、確立した骨折モデルを持っているということは研究室として大きな強みであり、拡張性があります。今後もこの賞を頂いた事に恥じぬよう、このMouseFixを武器に、北里大学に、そして整形外科に貢献して行きたいと思います。また、後輩達が世界で戦える環境を提供できるよう良き指導者を目指したいと思います。